3 新会社設立の考え方と概要

(1) 基本的な考え方
 地下鉄事業の民営化にあたっては、まず準備会社を設立し、事業免許の移行手続きなどの準備作業を行ったのち、上下一体で事業の引継ぎを行うこととしている。
 また、当面、100パーセント大阪市出資の株式会社化を図ることとし、将来、株式上場が可能な企業体を目指し、経営力を高めていく。
 
【基本方針の骨子】
  • 新設会社に引き継ぐ事業の種類、範囲
    引継ぎ時に運行している路線(御堂筋線~今里筋線、ニュートラム)
  • 新設会社の株式の所有
    引継ぎ時においては、本市がその全部を所有
  • 新設会社の引き継ぐ資産、負債及び権利
    地下鉄事業会計に属する資産、負債並びにその他権利及び義務は、原則としてその全部を新設会社に引き継ぐ
  • 新設会社に引き継ぐ職員に関する取扱い
    業務が適切に行われるよう、新設会社の方針に基づき必要な職員を引き継ぐ
  • 引継ぎに際して新設会社に求める事項
    • 輸送の安全の確保
    • 「ひとにやさしい市営交通」の精神の承継
    • 未着手の地下鉄条例路線に関する市の方針の尊重
    • 多様な事業展開に伴う沿線・地域の活性化への貢献
    • 企業の社会的貢献
    • 新設会社と本市との間での会議体の設置

(2) 会社設立手法
【準備会社設立時】
 準備会社を事前に設立したのち、事業の譲渡譲受契約を締結した上で、国土交通省に認可申請を行う
 (事業譲渡の認可手続きには概ね半年程度の期間が必要)

【事業引継ぎ時】
 地下鉄事業会計に属する資産・負債について、原則、その全部を新会社に出資する。
 デューデリジェンス業務を実施し、現在公営企業会計基準で計上されている簿価を、民間企業会計基準へと置き換えた上で現物出資を行うこととし、新会社の株式は大阪市がその全部を所有する。

(3) 企業理念
 民営化後の新会社の企業理念として、次のような内容を掲げ、スタートしたいと考えています。
【企業理念】
 私たちは、最高の安全・安心を追求し、誠実さとチャレンジ精神をもって、大阪から元気を創りつづけます。

(4) 民営化ビジョンで想定される様々な事業
 これまで交通局においては、初乗り運賃の値下げ、トイレの美装化、終発延長、駅売店のリニューアルなど民営化を前提とした取組みを進めてきましたが、民営化後の地下鉄新会社は大阪シティバス・大阪メトロサービス・大阪地下街とのグループ経営によるシナジー効果を発揮させ、取組みをさらに加速・発展させていきます。
  • 新たな事業への積極進出
    • 不動産・ホテル事業
    • 高齢者・子育て支援事業
    • 健康関連事業
  • 安全・安心の地下鉄ブランドの確立
    • 地下の防災をさらに強化
    • 御堂筋線駅グランドリニューアル
    • 駅出入口を「ウェルカムゲート」に変革
  • 関西鉄道ネットワークの中核としての貢献
    • 「より早く」「より安く」「より便利」な鉄道への変革にチャレンジ
    • 運賃戦略、IC戦略の策定
  • 駅を地域交流の拠点に沿線地域の活性化
    • 「まちコンシェルジュ」としてのサービス
    • 地下街と連携した地下のまちづくり

(5) 組織イメージ
 【組織の検討にあたってのポイント】
  • 企業理念に掲げた目標を達成するためにはどのような組織体制が望ましいか
  • 駅を活用した沿線における事業を展開し、鉄道事業以外の事業を育てるためにはどのような組織体制が望ましいか
  • 長年培われた「技術力」を発揮し、対外展開も可能な体制とするためにはどのような組織体制が望ましいか
  • 全社員に経営参画を求め、コストの責任範囲を明確にするとともに、経営幹部の育成を見据えた形を目指すためにはどのような組織体制が望ましいか
  ↓
  【民営化当初の組織体制】
   鉄道運行・技術・駅といった3要素を基本に、それぞれの単位で経営責任を担う本部制でスタートする。


(6) 定款の主要項目(案)
  • 商号:大阪地下鉄株式会社(仮称)
  • 目的:新会社として行うこととなる事業内容を列記
  • 発起人の氏名または名称及び住所:大阪市
  • 機関:株主総会、指名委員会、監査委員会、報酬委員会、取締役会、会計監査人、執行役
  • 株主総会:定時株主総会の招集日や議決権の基準日、決議方法などを記載
  • 指名委員会及び監査委員会、報酬委員会:各委員会の人数及び決議の方法を記載
  • 取締役会:選任方法及び任期を記載
  • 執行役:人数及び任期、代表権を記載

【参考】デューデリジェンス業務の概要
 地下鉄事業を株式会社化するにあたっては、会社法にもとづく設立手続きが必要であり、現在保有している資産等について、民間会計基準での資産の内容・数量とその価額を確定する必要がある。
 このため、現在保有している資産等(トンネル・駅舎・車両等の固定資産、現金・預金等の流動資産など)について、実在性の確認や数量、価額の確定などを行うことを目的に平成25年度からデューデリジェンスを実施している。

【平成25年度~26年度業務の結果】
  • 平成25年度末時点における民間企業会計基準での固定資産台帳をもとに、平成26年度中の資産の増減等を推計し、平成27年4月1日に現物出資を行うと仮定して現物出資財産額の試算を行ったところ、正味資産は3,713億円となった。
 
【今年度業務の予定】
  • 民営化の条例案の議決を見据えつつ、平成25年度決算以降の資産の増減についての時点修正を行い、議決を得られた後には、民営化直前に実施すべき流動性のある資産や建設仮勘定の調査、地下鉄事業に直接供していない資産について正式鑑定を行い、民営化時の出資額を確定させるとともに、会社設立等の準備を進めていく。
  • 他項目アイコン
  • 他項目
  • 他項目アイコン
  • とじる

1つ前に戻る