2 民営化の必要性及び目的
(1) | 乗合バス事業の経営状況 |
バス事業は、これまで一般会計等からの補助などを受け運営を行い、平成20~24年度には地下鉄事業から249億円にもなる財政支援を行ってきたが、平成24年度まで昭和58年度以来29年連続の赤字の状況にあった。 平成25年度・26年度においては、経営改善に向けた取組みにより、経常黒字を確保したものの、平成25年度において、すでに500億円以上の累積欠損金を抱えるなど事業体としては存続できない状態である。さらに平成26年度の住之江用地土地信託事業の和解金支払いにより発生した巨額の負債が加わり、資金不足額が約165億円、資金不足比率は140.9パーセントとなり、累積欠損金は約800億円にのぼっている。 そのため、平成26年度決算で「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、資金不足比率が経営健全化基準(20パーセント)を大幅に超え経営健全化団体となり、平成27年度中に議会の議決を経て「経営健全化計画」を総務大臣へ提出する必要がある。 |
(2) | 公営企業としての限界 | |||||||||||||||||||||||||
ア |
乗車人員の減少 バス事業の乗車人員は、これまでに景気の低迷、少子高齢化、情報化といった社会経済情勢の変化や、地下鉄整備などにより大幅に減少している。平成14年度からの推移を見ても、平成26年度では乗車人員及び運輸収益は約5割(特別乗車料繰入金除く)も減少している状況にある。 今後においても、確実に総人口が減少していく社会環境にあることに加え、生産年齢人口の減少により通勤・通学需要が大きく減少する。事業の収入の根幹である運輸収入の減少リスクが高まる環境にあることを認識しておく必要がある。 一方で、高齢者人口の増加が予想されるなか、バスに対する社会的ニーズはより一層高まるものと考えており、持続可能なバスサービスが提供できる仕組みの構築が急務である。 |
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イ |
コスト削減の取組み 公営企業として様々な経営改善に取組んできたが限界の状況にある。一方で、依然、走行キロ当たりコストは民間バス会社と比較し高い状況にある。 今後、経年による職員の入替わりで新陳代謝が進みコストダウンも可能と考えられるが、長い期間が必要となる。
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ウ |
投資の必要性 今後もバス事業を継続していくには、バス車両や料金収納機等の更新、施設整備・改修などにより、平成28年度から10年間で約122億円もの資金が必要となる。
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エ |
公営で運営するとした場合の収支シミュレーション 人口減少による運輸収入の減少や設備投資などを考慮したうえで、一定の条件のもとで公営で運営するとしたシミュレーションを行った場合、累積欠損金や資金不足比率が解消する見込みはなく、悪化に歯止めがかからない状態となる。 |
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オ |
まとめ バス事業は負債が資産を上回り、多額の累積欠損金を抱えるなど債務超過の状況にあり、事業体としては存続できない状態となっている。 社会経済情勢の変化などにより乗車人員は減少傾向にあり、今後も人口減少が進行し、運輸収入の減少リスクは高まる一方になる。しかしながら、高齢者人口の増加により、バスの社会的なニーズは一層高まる。 これまで取組んできた抜本的なコスト削減策について、管理委託は50パーセントまでに達しており、また、民営化を見据えた交通局独自の大幅な給料カット等について労働組合の理解も得つつ取組んできたが、現状以上の公営での改善は限界にある。一方で、民間バス事業者等と比べ、依然としてコストが高い状況にある。 さらに、今後バス事業を営むために必要となる車両更新等により、多額の投資が必要となってくる。 住之江用地土地信託事業の和解金支払いにより平成26年度決算で資金不足比率が20パーセントを大きく上回り、経営健全化団体となるが、現状のまま公営で運営するとした場合、累積欠損金や資金不足比率が解消する見込みはなく、悪化に歯止めがかからない状態にある。 ↓
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