5 民営化移行時の取扱いについて
(1) 資産整理の考え方
- 地下鉄事業会計が所管する資産は、公営企業会計基準で1兆3,832億円(平成28年度末予定)となっている。
- そのほとんどが「鉄道事業に必要な資産」であることから、引継ぎに関する基本方針の3では、原則ルールとして、「大阪市高速鉄道事業会計に属する資産、負債については、原則その全部を、新設会社に引き継ぐものとする。」と定めた。
- 一方、地下鉄事業会計が所管する資産の中には、一部ではあるものの、鉄道事業に直接使用していない固定資産もあることから、それらについて、現在の用途や所管することになった経緯等を鑑み、次のように整理を行った。
- 鉄道事業に必要な固定資産
原則ルールに則り、新会社に現物出資する - それ以外の固定資産(鉄道事業に直接使用していない固定資産)
- 民間への貸付等事業化している(または予定している)もの及びバス事業で使用しているものは新会社に現物出資
- 一般会計に貸付しているもの及び未利用地は使用状況に鑑み全市的判断に委ねる
- 地域活動に協力して提供しているもの及び道路は出資対象財産から除外
ア 鉄道事業に必要な固定資産について
- 地下鉄事業会計が所管する固定資産のうち、大きな割合(約98パーセント)を占めるものは鉄道事業に必要な固定資産であり、これらの資産は、主にトンネル等の線路設備や、電路設備、車両等、地下鉄の運行に必要不可欠な資産である。
- 運行に支障のない範囲で、一部を一般会計等に貸しているものの、「鉄道事業に必要な固定資産」については、原則ルールに則り、新会社に現物出資する。
- 土地:緑木検車場ほか206か所、392億円(運行に支障のない範囲で、駐輪場用地27件、地域13件等、一部を一般会計等に貸している(計 約8,000平方メートル))
- 建物:緑木検車場ほか84か所、313億円
- 線路設備:軌道、トンネル、停車場等、8,190億円
- 電路設備:通信設備、電力線設備等、1,508億円
- 車両:客車1,344両等、417億円
- その他:機械装置、資産備品等、495億円
- 計:1兆1,315億円
イ それ以外の(鉄道事業に直接使用していない)固定資産について
- 地下鉄事業会計が所管する資産のうち、現在鉄道事業に直接使用していない固定資産については、その用途が様々であり、地下鉄事業の民営化にあたって次のように整理する。
- 民間への貸付等事業化している(または予定している)もの(境川用地等):土地64億円、建物31億円、計95億円
現在、収益確保のために民間への貸付等事業化しているもの(今後予定しているものを含む)については、民営化後の新会社の収支計画にも織り込んでおり、企業価値を高める観点からも、原則ルール通り新会社に引き継ぐ。 - 一般会計に貸付しているもの(市営住宅用地、消防局庁舎用地、市民プール用地):土地31億円、計31億円
交通局としては有効活用の一環で一般会計に貸付を行っているが、現在の使用状況に鑑み、ルールの例外として全市的判断に委ねる。 - バス事業で使用しているもの(守口車庫用地ほか4件):土地80億円、計80億円
現在バス事業で使用している資産は今後もバス事業に必要なため、原則ルール通り地下鉄新会社に引き継ぎ、地下鉄新会社と大阪シティバス株式会社はグループ会社として経営していく。 - 未利用地(もと鶴浜車庫用地ほか5件):土地13億円、計13億円
交通局において売却したいが、事業としては不要であることから、「ルールの例外」として出資対象財産から除外。 - 地域活動に協力して提供しているもの(長居用地等):土地2億円、計2億円
現在無償で地域に提供している使用形態を考えると、「ルールの例外」として出資対象財産から除外。 - 道路(我孫子用地等):土地1億円、計1億円
「ルールの例外」として出資対象財産から除外。(別途、バス分(2か所、60平方メートル)あり) - 合計:土地191億円、建物31億円、計222億円
ウ まとめ
- 鉄道事業に必要な固定資産(1兆1,315億円)
運行に支障のない範囲で一般会計等に貸しているものを含め、地下鉄運行に不可欠なものについては、新会社へ現物出資。(現在、運行に支障のない範囲で一般会計等に貸しているものについても、引き続き貸付) - それ以外の固定資産(鉄道事業に直接使用していない固定資産)(222億円)
- 収益確保のために有効活用しているもの(予定含む)(126億円)のうち、民間に貸し付けているもの(予定含む)(950億円)については、新会社へ現物出資、一般会計に貸し付けているもの(31億円)については、全市的判断に委ねる。
- バス事業で使用しているもの(80億円)については、新会社へ現物出資。
- 未利用地(13億円)については、全市的判断に委ねる。
- 地域に提供しているもの(2億円)及び道路(1億円)については、出資対象財産から除外。
(2) 職員の転籍・雇用対策
ア 基本方針
- 新会社の目的が達成され、その業務が適切に行われるよう、新会社の方針に基づき必要な職員を引き継ぐ。
- 地下鉄事業に従事する職員は、新会社を中心に職員の雇用先を確保し、転籍・再配置を行う。
- 新会社等の雇用条件等を示しながら、職員への十分な説明と意向調査のもと、人材活用の観点に重点を置き、雇用先の確保を行う。
- このほか、早期退職制度・配置転換などを活用した雇用対策も行う。
イ 転籍・雇用対策のフロー
- まずは、雇用対策・労働条件の概要を職員へ説明する。
- 次に、職員へ労働条件等提示・意向調査を行う。
- その後、個別面談を実施し、新会社、市長部局等への配置転換、他の民間企業、希望退職、のいずれを希望するかを確認する。
- 新会社を希望する者は、新会社の採用試験を経て、採用が内定するが、不採用となった者は別途面談を行う。
なお、転籍・雇用対策にあたっては、
- 地下鉄事業の廃止に伴い職員は退職することとなるため、原則、退職手当を支給する。
- 退職手当の支給率については、「整理退職等」の支給率区分を適用する。
- 新たな早期退職制度を検討する。
- 他の民間企業を希望する職員については、再就職のためのノウハウの提供などを通じて雇用の確保ができるよう支援する。
(3) 人事・賃金制度等について
平成26年9月22日の団体交渉において、新会社で目指すべき方向性を労使双方で確認したうえで、民営化に向かって取組みを進めるため、地下鉄新会社の人事制度、賃金制度、労働条件、要員体制等の骨格である「地下鉄新会社の人事・賃金制度等の骨格」について提案。
【基本方針】企業の「持続・成長」と社員の「幸福」の一致を目指す。
ア 「良い仕事」=「良い給料」
- 会社が期待する役割の明確化
- 役割に応じた人事コース(職群)を設定
従来の人事委員会採用と交通局採用の区分を撤廃 - 人事コースごとの人事等級別の役割を明確化する
課長代理級の廃止など、階層のフラット化を図り、意思決定をスピード化
現場部門における等級別の役割に応じた新たな職種別定数
- 役割に応じた人事コース(職群)を設定
- 社員の努力(成果)が報われる制度
- 会社への貢献度である成果を明確に反映するための成果給の導入
- 賞与に個人業績とともに会社業績を反映
イ 仕事を通じて社員一人ひとりが成長できる会社へ
- 民営化後のそれぞれの事業特性に即した多様性に対応する教育
- 意欲のある社員に活躍の場・成長機会の提供
ウ 企業の持続・成長を支える組織・要員体制
- 将来の経営を担う人材の育成
- 業務効率の高い要員体制の構築
- 他項目
- とじる
- 企業理念・行動指針・行動規範
- 会社概要
- 組織図
- 役員一覧
- コーポレートアイデンティティ
- 電子公告
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- 経営計画等
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