Osaka Metro は、名古屋大学と共同で、Osaka Metro 本社ビル1階において、次世代太陽電池であるカーボンナノチューブ(CNT)薄膜透明電極を用いた両面受光型ペロブスカイト太陽電池(CNT-PSC)の耐久性検証を目的とした実証実験を行います。
 CNT-PSCは、高い発電効率が期待でき、軽量かつフレキシブルであり、建物を補強することなくパネルが設置できるほか、建物の屋根以外にも壁面や鉄道施設、車両等従来では困難だった場所にも設置可能となります。
 今回実証するCNT-PSCは、上部透明電極に単層カーボンナノチューブ(SWCNT)透明電極を用いた独自構造により、屋外光及び室内光の双方から発電が可能となります。
 新たに両面受光型ペロブスカイト太陽電池の発電効率や耐久性を実証することで、新素材太陽電池の開発と再生可能エネルギー実装拡大の推進につなげていきます。

【実証実験について】
 名古屋大学大学院工学研究科および未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所の松尾 豊 教授、上岡直樹助教、大島 久純 特任教授らの研究グループと共同で次世代太陽電池として実用化が期待されるSWCNT透明電極を用いた有機薄膜太陽電池(CNT-OPV)に続き、高い発電効率が期待できる両面受光型ペロブスカイト太陽電池(CNT-PSC)の社会実装に向けた大面積・長期耐久性実証実験を実施します。
 今回10センチメートル×10センチメートル(100平方センチメートル)サイズのCNT-PSCセミモジュールを27枚、比較対象として従来の金属裏面電極を用いたペロブスカイト太陽電池(PSC)を3枚名古屋大学で製作し、当社で試験用パネルに貼り付け、実環境下での発電特性および経時劣化挙動を継続的に評価します。
 また、2024年度から実施しているCNT-OPVについても併設して実証を継続します。
〇実証実験期間:2026年3月25日(水曜日)から2027年3月下旬
〇実証実験場所:Osaka Metro 本社ビル1階(屋内)

  • CNT-OPVモジュール(10センチメートル×10センチメートル)
  • CNT-PSCモジュール(10センチメートル×10センチメートル)

  • CNT-OPV耐久試験
  • CNT-PSC耐久試験

【CNT-PSC】
 本研究で用いたCNT-PSCは、上部の裏面電極にSWCNT薄膜透明電極を用いた半透明構造を有しており、両面から光を取り込むことが可能です。この構造により、窓面に設置した場合には、屋外の太陽光だけでなく、屋内照明などの弱い光環境からも発電できます。CNT-PSCは、金属電極型と比較して意匠性に優れ、CNT電極側から見ても電極が目立たず、背後の景色を視認できます。発電効率は金電極を用いたPSCに比べて若干低いものの、光の入射面を反転させても同等の発電性能を示すことが確認されています。SWCNT電極は、化学的に安定で酸化や腐食に対する耐性が高く、ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上に寄与します。さらに、発電層に用いられているペロブスカイト材料は、名古屋大学で独自に設計・開発されたオリジナル材料であり、高い光電変換特性と耐久性の両立を目指したものです。

【実証実験の意義】
 今回の取組みは、これまでに得られたCNT-OPV実証実験の成果を踏まえ、より高効率が期待できるペロブスカイト太陽電池へと展開するものです。実環境下で長期評価を行うことで、将来的には駅施設や車両、都市空間への太陽電池の設置可能性を検討するための基礎データを取得することを目指します。
 新たな太陽電池についての実証実験を名古屋大学と共同で行うことで、脱炭素社会に向け、社内各施設でより多くの太陽光エネルギーの活用や、自然に負荷をかけない再生可能エネルギーの開発、エネルギーデバイスの産業化などの促進を図っていきたいと考えています。

〇研究グループ
名古屋大学大学院工学研究科および未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所
株式会社デンソー
【研究者連絡先】
名古屋大学大学院工学研究科/マテリアルイノベーション研究所
教授/所長 松尾 豊(まつお ゆたか)
TEL:052-788-6113
E-mail:matsuo.yutaka.h7@f.mail.nagoya-u.ac.jp

【用語説明】
注1 ペロブスカイト太陽電池
「ペロブスカイト構造」という特殊な結晶構造をした有機無機ハイブリッド材料を発電層に用いた太陽電池。高効率かつ低コストで製造可能なため、従来のシリコン太陽電池に代わる次世代の太陽電池として注目されている。

注2 有機薄膜太陽電池(OPV)
発電層に有機半導体材料を用いた太陽電池で、軽量・柔軟な特性をもち、製造コストが低いことが特徴。多様な基板に対応可能で、次世代の再生可能エネルギー源として注目されている。

注3 単層カーボンナノチューブ(SWCNT)
炭素でできた直径1から2ナノメートルの1層の筒状材料。(1ナノメートル : 1ミリメートルの1/1000000)
炭素原子が六角形格子を形成して筒状になった構造をもち、優れた電気伝導性、強度、熱伝導性をもつ。電子デバイスやエネルギー材料、バイオ医療など幅広い分野で応用が期待されている。

注4 セミモジュール
数個から数十個の太陽電池セルを直列につなぎ組み込んだものをモジュールという。小型のモジュールをセミモジュールという。研究段階では一つのセルでの発電効率が評価されるが、実用化段階においてはモジュールで評価される。

1つ前に戻る