5 諸課題に対する解決の方針(民営化基本プラン(案)の考え方に基づく)

(1) 企業債の取扱いについて
ア 現状・課題
  • 平成26年度末で約80億円の企業債残高がある。
  • 公営企業を廃止する場合は、公営企業として発行した企業債の取扱いについて、関係先である、国や借入先と協議が必要。また、繰上償還を行うこととなれば、財源の調達や概算で4億円の補償金の支払いの要否について協議する。
イ 関係先との協議
  • 国や借入先との協議の結果、約定上、民間への路線譲渡であれば、原則、国や借入先が繰上償還を求めることとなり、この場合は補償金の支払いは不要となる。
ウ 対応方針
  • 繰上償還が可能な企業債については、繰上償還を実施する。
  • 市場公募債については、発行要項において繰上償還ができない旨明記されているため、関係部局と協議する。
  • 償還時の資金工面としては、現有する資産を可能な限り活用したうえで、「三セク債」の発行も考えられるが、地下鉄の資金を活用し、市民負担が生じないようにする。
【平成26年度末のバス事業の企業債残高と補償金の概算】
  • 財務省借入金:残高15億円、補償金1億円
  • 郵貯・簡保管理機構借入金:残高36億円、補償金2億円
  • 地方公共団体金融機構借入金:残高14億円、補償金1億円
  • 市場公募債:残高13億円、補償金なし
  • 銀行等引受債:残高2億円、補償金なし
  • 合計:残高80億円、補償金4億円



(2) 補助金の取扱いについて
ア 現状・課題
  • バリアフリー車両・低公害車両の購入やバスロケーションシステムの整備などの財源として、国・府・市から受け入れた補助金のうち、平成26年度末時点で資本剰余金に81億円計上されている。
  • 公営企業の廃止に際して、補助金の返還を要するか否かが課題。
イ 関係先との協議
  • 関係機関との協議や通達等から、「耐用年数を経過していない固定資産を有償譲渡や有償貸付等する場合は、譲渡額等に補助率を乗じて得た額の補助金等を返還する必要がある」と考えられる。
ウ 対応方針
  • 耐用年数を経過していない固定資産を有償譲渡や有償貸付等する場合は、これまで受け入れた補助金の一部については返還する。概算では国3億円・府1億円・市1億円となる。
【平成26年度末の貸借対照表における資本剰余金のうち補助金】
  • 国である国交省が所管する営業所、バスターミナル、停留所等に対する「住宅市街地総合整備補助金」等が7億円、車両、バスロケ、車両機器等に対する「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」等が24億円、総務省の所管する再建公営路面交通事業バス購入費補助金が12億円、経済産業省等の所管する天然ガス自動車普及事業急速充填所補助金等が2億円、計45億円
  • 府が所管するものとして、車両購入費補助金が7億円、運輸事業振興助成補助金が6億円、計13億円
  • 市が所管するものとして、車両、バスロケ、車両機器等に対する「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」等が23億円
  • 国、府、市の補助金の合計が81億円



(3) 債務の処理について
  • 一般会計との貸借の整理について
ア 現状・課題
  • 一般会計長期借入金
    • 第1次再建計画(昭和41~48年度)期間中に借入れ 47億円
    • 第2次再建計画(昭和48~57年度)期間中に借入れ 15億円
イ 対応方針
  • 一般会計長期借入金は、地方公営企業の廃止の際、地方公営企業法施行令第6条「法の適用の廃止」に基づき決算処理を行い、同時に資産や負債を含めて処理を行う。
  • バス事業における企業債・退職金などの資金調達について
     支払時の資金工面としては、現有する資産を可能な限り活用したうえで、「三セク債」の発行も考えられるが、地下鉄の資金を活用し、市民負担が生じないようにする。
    (参考) 「三セク債」(第三セクター等改革推進債)
  • 公営企業の廃止(特別会計の廃止)を行う場合に必要となる以下に掲げる経費が対象。
    • 施設及び設備の撤去並びに原状回復に要する経費
    • 地方債の繰上償還に要する経費
    • 一時借入金の償還に要する経費
    • 退職手当の支給に要する経費
    • 公営企業型地方独立行政法人の設立に際して必要となる資金その他財産の出えんに要する経費
    • 国又は地方公共団体から交付された補助金、負担金等の返還に要する経費
  • 当初は平成25年度末までの時限措置であったが、総務大臣の承認を受けた地方公共団体について、平成28年度まで三セク債の起債発行を可能とする経過措置を講ずることになった。
  • 本市においては、平成26年5月31日までに、これまでに民営化に向けた経緯を記した計画書を総務大臣に対して提出し、同年7月18日付けで承認された。



(4) 職員の処遇について
ア 現状・課題
  • 交通局の廃止に伴い職員は退職することとなるため、一括して退職手当の支払いが必要となる。
  • 大阪シティバス株式会社への事業譲渡に伴い、同社に職員の転籍を図る必要がある。
イ 対応方針 
【基本方針】
 職員の処遇については、労働組合と互いに責任ある立場のもと、将来の職員の給与・労働条件にかかわることとして十分な意見交換や協議を行い、課題の解決を図っていく。
 なお、平成25年1月16日の団体交渉において、労働組合と民営化に向けた協議を進めていくことについて合意。
  • 大阪シティバス株式会社の労働条件等を示しながら、職員への十分な説明や意向調査のもとに円滑な転籍を図る。
  • このほか、早期退職制度・配置転換などを活用した雇用対策も行う。



(5) 市の交通政策について
  • 新たな交通政策部門の役割
    • 市の交通政策の観点から、路線のあり方について検討する。
    • 平成26年度以降の新たな地域サービス系路線の維持・確保に伴う、補助事業を所管する。
    • 市の交通政策を大阪シティバス株式会社と共有しながら路線・サービスを維持・向上していくため、協定を締結して「バス運行にかかる協議体」を設置し、協議・調整を行う。
    • 譲渡路線の運行状況をチェック・評価し、それを公表するとともに、大阪シティバス株式会社にフィードバックすることにより、路線・サービスの維持・向上を確実なものとする。
  • バス運行にかかる協議体の設置
    【設置】
    • 譲渡先事業者と協定を締結し設置する。 
    【目的】
    • 本市における交通政策を大阪シティバス(株)と共有・連携し、市内における路線・サービスの維持・向上を図る。
    • 大阪シティバス株式会社との連携を円滑に進めていくため、協議・調整する場の設置を明確にする。
    • 協議体を設置して、交通政策部門と大阪シティバス株式会社それぞれの役割・責任を認識することにより、路線・サービスの維持・向上のための協議・調整をより円滑に進め、その取組みを確実にする。
    【主な協議・調整事項】
    ア 市民・利用者の意見・要望に関すること
    イ 路線・サービスの維持に必要な施設などの使用に関すること
    ウ 路線・サービスの維持に必要な補助金に関すること
    エ バスの利便性向上や情報発信等の官民協働の取組みに関すること
    オ バスの利用促進に向けた方策に関すること
    カ その他、路線・サービスの維持・向上にかかる取組みに関すること
    【組織体制】
    • 大阪市の交通政策部門、大阪シティバス株式会社など
  • 路線・サービス維持確保スキーム
     市民の意見・要望は大阪市の交通政策部門などが、利用者の意見・要望は大阪シティバス株式会社がそれぞれ集約し、大阪市は市民ニーズや市の交通政策を、大阪シティバス株式会社は利用者ニーズや事業者の経営判断を、バス運行にかかる協議体に持ちより、ニーズの共有や路線サービスの維持・向上に向けた協議・調整を行う。また、大阪シティバス株式会社からは、増収対策や系統別利用状況等を大阪市に報告し、大阪市は補助金を交付する。これらにより、利便性の向上や安定した路線・サービスの提供を行う。


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