4 大阪シティバス株式会社の事業計画・施策

(1)引き継ぐバス路線
   引継ぎ時に運行している路線の全てを引き継ぐ。
  • 譲渡する路線(平成28年1月1日現在)
    • バス事業者の独立採算による運行によって維持する、事業性のある路線 57系統
    • 民間バス事業者並みのコストでも採算性の確保が困難であるが、市が支援を行いながら維持する、地域サービス系路線 29系統
    • 合計 86系統
    • 走行キロ(1日平均) 46,882キロメートル
    • 営業キロ 440.9キロメートル
    • 停留所数 985ヵ所譲渡する路線(平成28年1月1日現在)

  • 使用する主な施設

      • 営業所
      7営業所
      交通局直営 住吉、守口、中津
      大阪シティバス株式会社へ管理委託 住之江、鶴町、酉島
      南海バス株式会社へ管理委託 井高野
      なお、管理委託とは、道路運送法第35条の規定に基づき、お客さまに対する運送責任、路線設定に伴う営業権、車両、収入等は交通局に帰属させたまま、運転、運行管理、整備管理業務を一体として他の乗合バス事業者に委託するものです。
      • バスターミナル
      6ヵ所(大阪駅前、北巽、住之江、出戸、なんば、野田阪神)
      • 操車場
      3ヵ所(阿倍野北、天保山、西船町)
      • 転回地
      10ヵ所(阿倍野東、杭全、榎木橋、中島公園 ほか)

    • 使用するバス車両(全車両ノンステップバス)
      • 住吉83両、守口82両、中津77両、住之江73両、井高野61両、鶴町85両、酉島69両、合計530両



    (2)経営方針
    ア 安全確保
    • 「安全はすべてに優先する」という方針のもと、経営トップが主体的に関与し、運輸安全マネジメントを推進する。
    イ 路線の維持とサービス向上
    • 「バス運行にかかる協議体」に参画し、引き継いだ路線・サービスを維持する。
    • ひとにやさしい交通機関を目指すとともに、お客さまの需要をきめ細やかに把握し、高齢者や外国人観光客の対応のための昼間時間帯の増便などさらなる運行サービスの向上を目指す。
    • 他バス事業者との共同運行など、市域外への路線拡大の検討を進めていく。
    ウ 市政策との連携
    • 市の交通政策や地下鉄とバスのネットワーク構築について、市バス事業を継承した事業者として積極的に連携・協力する。
    エ 自立経営の実現
    • 民間の経営能力、営業能力を取り入れ、持続的な自立経営を実現する。
    • 路線バスにこだわらず様々なバスサービスの展開のほか、営業所などのスペースを有効活用するなど多様な事業展開を検討する。
    • 労使相互の信頼による安定的な労使関係を実現する。



    (3)組織設計
    • バス業界でのトップランナーを目指し、戦略的企画・経理の体制を整備する。
    • 営業所の権限・責任を強化・明確化しつつ、営業所ごとに意欲的にサービスの向上に取組める体制とし、常に業績及びサービス、現場力のアップを図る。
    • 必要な民間ノウハウ・スキルに精通している社外取締役を招聘する。

    【組織図】
    • 社長を代表取締役、部長職3名に取締役を委任、社外取締役1名の5人体制で、取締役会を構成する。
    • 社長のもとに、監査室、運輸部、戦略企画部、総務部を設ける。
    • 監査室の主な所管の概要は、コーポレートガバナンスの確立、コンプライアンス、法務、内部監査とする。
    • 運輸部には、運輸課、営業課、車両・施設整備課を設け、運輸課の主な所管の概要は、路線(高速含む)・運行計画、旅客集計、運賃制度、補助、運行ダイヤ、時刻表、安全総括(安全管理・投資・マネジメント、適性診断等計画、保険契約)、教習センター(運転手の養成教習、安全・接客等指導、運行管理者指導)とし、各営業所を運輸課のもとに配置する。
      営業課の主な所管の概要は、お客さまサービスの企画・運営全般、運送約款、貸切、営業指示、広告とする。
      車両・施設整備課の主な所管の概要は、車両整備、車両・機器更新計画、営業所整備管理者応援、バスロケ、システム全般、営業所、ターミナル、停留所等施設管理とする。
    • 戦略企画部には戦略企画課、経理課を設け、戦略企画課の主な所管の概要は、経営計画・改善計画・設備投資、企業戦略、新規事業開拓とする。
      経理課の主な所管の概要は、予算・決算、税務、財産、資金調達、ファイナンス、収入精算とする。
    • 総務部には総務課、人事課を設け、総務課の主な所管の概要は、会社全般の事務運営、プレス、株主総会、取締役会、契約とする。
      人事課の主な所管の概要は、人事・要員、採用、人材育成、賞罰、労務、給与、福利厚生とする。
    (4)事業運営に必要な車両・施設等の確保
     大阪シティバス株式会社は、これまで管理の受託を主な事業としてきたことから、バス営業所等の土地・建物やバス車両は保有していない。そのため、民営化後に必要な営業所等の土地・建物及び車両は、地下鉄新会社からの賃借でスタートし、内部留保を集積して自己資本に切り替えていく。

    【事業運営に必要な資産の対応】
    • 土地・建物は、当面は賃借による対応とする。
    • 車両は、当初は賃借からスタートする。
    • 交通局が所有する停留所等は、売却が不能で、市バス事業を引継ぎ、引き続き市民・お客さまへのサービスに活用する大阪シティバス株式会社以外には、活用のしようがないため、無償譲渡とする。
    • 機械装置等その他の資産については、有償譲渡とする。

    【平成27年度末見込の大阪市自動車運送事業財産明細書】
     資産の部102億4千万円の内訳は
    • 有形固定資産 102億3千5百万円
    • 有形固定資産のうち、営業所、バスターミナル等の土地 28億3千3百万円
    • 有形固定資産のうち、営業所、バスターミナル等の建物 44億8千6百万円
    • 有形固定資産のうち、電照標識、金属式標識等の構築物 5億2千5百万円
    • 有形固定資産のうち、バス車両530両等の車両 9億9千8百万円
    • 有形固定資産のうち、車庫等の機械設備である機械装置 12億9千5百万円
    • 有形固定資産のうち、整備関係機器類である工具、器具及び備品等 8千1百万円
    • 有形固定資産のうち、営業所建物等の建設仮勘定 1千7百万円
    • 無形固定資産 5百万円
    • 無形固定資産のうち、ソフトウエア 5百万円



    (5)重点実施施策

    運行サービスの拡大
     昼間時間帯の増回など、増客増収が見込める路線で運行サービスを拡大します。
    適時適切な臨時輸送
     大型集客イベントとの積極的な連携や、季節に合わせた臨時バスの運行など、話題性のある輸送サービスを適時適切に提供し、バスアクセスの存在をアピールしていきます。
    利用促進に向けたバスサービスの提供
     ICカードサービスのさらなる向上や、海外インバウンド対策の強化など、増客増収に向けたサービスの提供に努めます。
    接客・接遇サービスの向上
     運転手の「サービス介助士」の資格取得を推進するとともに、接客・接遇力の向上に努め、気軽に安心してご利用いただけるサービスの実現に努めます。
    液晶表示器による車内案内の充実
     バス車両の更新にあわせて液晶表示器を設置し、運行情報やサービス内容など、画像や多言語による車内案内の充実を図ります。
    バス待ち環境の改善
     停留所施設の美装化や、利用しやすい時刻表などの案内物を表示することで、快適なバス待ち環境、お客さまに満足いただけるサービスの提供に努めます。
    情報発信とPRの強化
     沿線イベント等のきめ細やかなPRやSNSなどを活用した多様な情報発信に努めます。
    附帯事業の展開
     民間バス事業者もバス事業を中核としつつも、附帯事業も併せて行っているところが一般的であり、事業環境を勘案しながら、駐車場経営などの不動産管理業、売店等の物販事業、飲食業などの附帯事業の展開に取組みます。



    (6)地下鉄新会社とのグループ会社としての経営戦略等
     大阪シティバス株式会社は地下鉄新会社のグループ会社であるが、自らの経営責任のもと独立採算で経営を行い、バスサービスを維持・向上させることを原則としつつ、地下鉄新会社と密接に連携する。
    • 地下鉄新会社とともに、市内全域をカバーする交通ネットワークを活用した一体的なサービス提供
      • バスによる地下鉄沿線地域の利便性確保や相互送客
      • 地下鉄とバスの乗継割引制度
      • 増客に向けた共同事業の企画・実施
      • バス会社としての事業拡大や、グループ内でのシナジー効果が発揮できる関連事業の展開を検討など
    • 地下鉄新会社の役割等
      • 経営状況の分析・改善に向けたアドバイスなどのサポートや人材交流
      • 大阪シティバス株式会社が資金調達を行う際、親会社としての地下鉄新会社の信用力を活用など

    (民間ノウハウ獲得のための資本注入)
     当初は「市(地下鉄)100パーセント」で運営を行うが、一括譲渡により事業者が複数存在しない中では、競争性の発揮によるサービス改善やコスト削減、交通インフラの活性化にリスクがあるため、市場で競争性を発揮している民間事業者から経営陣だけではなく「資本注入」という具体的な形で最大限経営に参画してもらうといった手法も検討する。


    (7)収支計画
     事業譲渡後の大阪シティバス株式会社の当初の10年間と11年目から10年間の平均の収支見通しは以下のとおりである。
     黒字基調の維持は可能であり、経常利益率も当初10年間で平均7.6パーセントで推移し、次の11年目以降は平均して9.9パーセントを見込んでおり、中長期的に経営の健全性は確保し続けることが可能である。

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