3 民営化の考え方

(1)

民営化の目的

 目的 市民・お客さまに必要な路線・サービスを、将来に亘り持続的・安定的に提供する

その目的を達成するため、

  • 官と民の適切な役割分担の再構築(市民・お客さまに必要不可欠なバスサービスは、市が補助によって維持することを明確にする。)
  • 持続可能な輸送サービスの確保(事業体として存続できない状態にあるバス事業の運営を大阪シティバス株式会社に委ねることで、経営の合理化及びサービスの向上を図るとともに、不採算であるが必要なサービスは市が支援しながら持続可能な輸送サービスを確保する。)

を図る。
 民営化による意義

  • 大阪シティバス株式会社に運営を委ねることで、持続的なコストダウンと路線・サービスの維持・向上が図れるとともに、必要な税投入が縮減できる。
  • 大阪シティバス株式会社が民間事業者として独立採算を図り、自立性や成長性を高める中で更なるサービスの向上が期待できる。




(2)

民営化に向けたこれまでの取組み

 バス事業の民営化については、多額の累積欠損金を抱えるなど公営企業としては存続できない状態の中、市民・お客さまに必要不可欠なバスサービスを将来に亘り持続的・安定的に提供するとともに、より良いバスサービスとしていく手法は何かといった観点から検討を重ねてきた。

 そのような中で、平成24年12月に「バス事業民営化基本方針(素案)」をとりまとめ、さらに議会での議論などを踏まえて平成25年2月に「バス事業民営化基本方針(案)」と改訂したうえで、「大阪市自動車運送事業の廃止に関する条例案」を上程した。その後も議会での議論を踏まえて、さらなる検討を加え、同年5月には「バス事業民営化基本プラン(案)」、平成26年11月にはバス事業を大阪シティバス株式会社へ一括譲渡するとした「バス事業民営化推進プラン(案)」を策定し、議論を進めてきたところである。

 事業の廃止に関する条例案については、平成26年11月及び平成27年2月の2回に亘り否決されたものの、議会においても民営化の方向性は一定の理解を得ていたことから、平成27年9月には、議会からの民営化の手続きを明確にすべきという意見を踏まえ「大阪市自動車運送事業の引継ぎに関する基本方針の策定を地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件とする条例案」を上程し、同年10月に可決されたところである。

(3)

民営化のスキーム

 民営化のスキームについては、市民・お客さまのバスサービスの維持に対する安心を担保するとともに、地下鉄とのネットワークの一体性や連携を確保していくといった観点から、経営効率に優れた交通局の外郭団体である大阪シティバス株式会社へ一括譲渡することにより民営化を図るものとする。

【基本方針の骨子】

  • 大阪シティバス株式会社に引き継ぐ範囲
    引継ぎ時にバス事業が運行している路線とする。
  • 大阪シティバス株式会社の株式の所有
    地下鉄事業等を引き継ぐために本市が出資を行い設立する株式会社(地下鉄新会社)に引き継ぐ。
  • 自動車運送事業会計に属する資産及び負債の取扱い
    • 資産は大阪シティバス株式会社へ譲渡するもの等を除き、高速鉄道事業会計に有償所管換えし、企業債等の債務の返済資金等に充当する。なお、返済資金等が不足する場合は、高速鉄道事業会計が負担し、大阪シティバス株式会社には負債を引き継がない。
    • 大阪シティバス株式会社がバスの運行に必要な営業所、バス車両等の資産は、高速鉄道事業会計の資産を引き継ぐ、地下鉄新会社が同社へ賃貸する。
    • 大阪シティバス株式会社がバスの運行に必要な機器及び資産備品は有償、停留所施設等は無償により同社へ譲渡する。
  • 大阪シティバス株式会社に引き継ぐ職員に関する取扱い
    業務が適切に行われるよう、大阪シティバス株式会社の方針に基づき必要な職員を引き継ぐ。
  • 引継ぎに際して大阪シティバス株式会社に求める事項
    • 輸送の安全の確保
    • ひとにやさしい市営交通の精神の承継
    • 自らの経営責任による交通機能の確保・充実、鉄道との連携、地域の利便性の確保
    • 路線、運行回数、運賃などは原則として、少なくとも10年は譲渡時の水準を維持するものとし、その後も本市の交通政策部門が設置する「バス運行にかかる協議体」へ参画し、より良いサービスを提供
    • 大阪シティバス株式会社と本市との間での会議体の設置



(4)

バスサービスの維持方策

  • バス運行にかかる協議体の設置
     将来に亘り、持続的・安定的に市民・お客さまに必要不可欠なバスサービスを維持していくことは極めて重要である。そのため、本市の交通政策部門と大阪シティバス株式会社が「バス運行にかかる協議体」を設置し協議・調整しながら、必要な路線の維持とより良いサービス提供を目指し、継続して取組んでいく。
  • 地域サービス系路線の維持等
    • 民間バス事業者並みのコストでも採算性の確保が困難であるものの、市民・お客さまに必要な地域サービス系路線は本市の補助制度により維持していく。
    • 事業性のある路線は、大阪シティバス株式会社が独立採算を図りながら維持する。
      【バス運行にかかる協議体】
    • 設置
      大阪シティバス株式会社と協定を締結し設置する。
    • 目的
      • 市における交通政策を大阪シティバス株式会社と共有・連携し、市内における路線・サービスの維持・向上を図る。
      • 大阪シティバス株式会社との連携を円滑に進めていくため、協議・調整する場の設置を明確にする。
      • 協議体を設置して、交通政策部門と大阪シティバス株式会社それぞれの役割・責任を認識することにより、路線・サービスの維持・向上のための協議・調整をより円滑に進め、その取組みを確実にする。
    • 主な協議調整事項
      • サ市民・お客さまの意見・要望に関すること。
      • 路線・サービスの維持に必要な施設などの使用に関すること。
      • 路線・サービスの維持に必要な補助金に関すること。
      • バスの利便性向上や情報発信等の官民協働の取組みに関すること。
      • バスの利用促進に向けた方策に関すること。
      • その他、路線・サービスの維持・向上にかかる取組みに関すること。
    • 組織体制
       市の交通政策部門、大阪シティバス株式会社など
    • 路線・サービス維持確保スキーム
       市民の意見・要望は大阪市の交通政策部門などが、お客さまの意見・要望は大阪シティバス株式会社がそれぞれ集約し、大阪市は市民ニーズや市の交通政策を、大阪シティバス株式会社はお客さまニーズや事業者の経営判断を、バス運行にかかる協議体に持ちより、ニーズの共有や路線・サービスの維持・向上に向けた協議・調整を行う。また、大阪シティバス株式会社からは、増収対策や系統別利用状況等を大阪市に報告し、大阪市は地域サービス系路線に対する補助金を交付する。これらにより、利便性の向上や安定した路線・サービスの提供を行う。
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