2 民営化すればどうなるのか(民営化後の事業展開)


 民営化すれば、お客さまとともに地下鉄事業を営む企業として、その存続・発展が目的となると同
 時に   
  • ヒト、モノ、カネ等貫徹した経営に関する権限の確保による経営責任の明確化により、効率的な経営の推進やスピーディーかつ柔軟なサービス展開
  • 予算単年度主義など行政組織としての手続きに縛られず、かつ多様な契約形態の選択による、中長期的なコスト削減、迅速な判断に基づくサービス展開
  • 外部人材の招へい、関連事業のための従業員の採用による積極的な事業展開や、シナジー効果による鉄道事業の成長、まちづくり、地域貢献
  • 業績連動型賞与や年功によらない昇任制度などの大胆な導入による組織の活性化とともに、従業員の経営参画意識や業績向上意識の醸成

 といったことが可能になってくる。また、乗車人員の減少傾向が続き、今後の人口減少という状況
 を踏まえると、早期に着手するほど、その効果は大きく発現するものと考えられる。

(1) 民営化を前提とした取組み
   民営化により、これまでとは次元の違うサービス展開が期待できるが、すでに民営化を目指す
   動きのなかで取り組んでいるものもあり、お客さまから好評いただいている。
  ア 初乗り運賃の値下げ
   【平成26年4月】 ※実施済み
     消費税増税後でも初乗り運賃を20円値下げ (200円→180円)
   【平成27年10月】
      4.5キロメートルまでの短距離区間の運賃を細分化して、さらなる値下げを目指す。
      ※消費税増税や民営化後の経営状況等を勘案し、実施時期・内容を判断する。
  イ 増客への取組み
     交通局の経営の根幹である運輸収入について、少子高齢化等の社会状況により乗車人員が
     毎年1パーセントずつ下がると中期経営計画で想定しており、これをカバーするべく、さ
     まざまな増客増収施策を展開し、特に平成25年度からは営業部を創設し、民間人材を
     トップに据え、700万人の増客を目標に掲げ、より積極的に取り組んできた。
    【これまでの取組み】
  • 地下鉄沿線観光コンテンツのブラッシュアップによる新たな需要創造
  • 関西の私鉄、JRとの相互送客
  • 国内インバウンド・アウトバウンド
  • 海外インバウンド
        
   乗車人員の減少傾向を食い止めたうえで、平成24年度・25年度の2ヵ年で約2,300万人の増客
   を達成した。
  ウ 終発延長
   【平成25年3月23日(土曜日)に実施】
     御堂筋線 谷町線 四つ橋線 中央線 千日前線 長堀鶴見緑地線 今里筋線 南港
     ポートタウン線
   【平成25年12月21日(土曜日)に実施】
     堺筋線
  エ 駅トイレのリニューアル
   【取組概要】
  • 内装 (床・壁・天井・ブース)及び衛生器具の一新を行い、明るく清潔で快適な空間を実現する
  • パウダーコーナーの設置や和式トイレを洋式トイレへ改修するなど、最新のお客さまニーズに対応し、快適性をより向上させる
  • 防臭対策や清掃方法などに配慮した建材、衛生器具の選定を行う
   【実績、今後の予定】
  • 平成24年度 22駅完了
  • 平成25年度 18駅完了
  • 平成26年度 36駅 (予定)
  • 平成27年度 36駅 (予定)
  オ 駅ナカ
   【これまでの取組み】
  • 平成25年4月 ekimo天王寺
  • 平成25年10月 ekimoなんば
  • 平成26年4月 ekimo梅田
   【今後のスケジュール】
     梅田駅に続く駅ナカ事業として、乗降人員の多い駅、他社線との乗換駅を中心に、駅の構
     造や駅周辺の開発状況を踏まえ、事業を展開する
  • 淀屋橋駅
  • 平成26年度より、区画化等の工事や出店店舗の検討を進め、平成27年度内に開業予定
  • 新大阪駅
  • 平成28年3月 (北中階部)及び同年12月 (中中階部)に開業予定
        ※その他、小規模なスペースであっても、事業展開可能な駅より、積極的に駅ナカ
         事業を展開
(2) 新たな事業展開
  ア 新規事業の検討
   (ア) 生活・まちづくり企業へ
  • 運輸収益以外の事業を育て、地域・沿線とともに発展する「生活・まちづくり企業」への進化を目指す
  • 多様な事業の展開で新たな雇用を創出し、大阪を元気にする
   (イ) 新規事業展開におけるコンセプト
  • 大阪を元気に
  • 安全、安心
  • 健康、いきがい
  • 環境、省エネ
  • アジアのゲートウェイ (海外インバウンド)
   (ウ) 展開を目指す業種・業態のイメージ
  • 不動産・ホテル事業 (駅周辺における新たな不動産事業の展開)
  • 受託型社員寮、賃貸マンション、ビジネスホテルの経営など
  • 高齢者・子育て支援事業 (沿線の皆様に親しまれ、より豊かで快適な生活環境づくりに寄与する)
  • 高齢者支援施設、子育て支援施設など
  • 生活・食関連事業 (地下鉄事業の施設を活用し、安全・安心で新鮮な農作物を提供)
  • 水耕栽培による農作物の生産・販売など
  • その他事業
       駅構内のWi-Fi設備を活用した新たな事業展開、リテール事業の新展開
       ※先行した取組みとして、淀屋橋駅の駅ナカ事業において、交通局が主体的に事業運
       営を行う手法について検討を進めている。
         
      こういった取組みにより、民営化10年後で、東京メトロ並みの関連事業比率を目指す
   イ 地下街との連携の検討
  • 大阪の地下を「グランド・リニューアル」という将来ビジョンのもと、駅とつらなる地下街との一体的な「地下」のまちづくりに貢献していく。
  • これまでは、地下鉄・地下街の事業者が各々で施設メンテナンスや防災の取組みを行っていたが、今後は空調設備の共通化を含め、地下空間を一元的に管理し、シナジー効果を発揮することを検討する。

(3) 民営化に関する懸念への対応
  ア 安全に対する取組み
     安全は経営形態に関わらず最優先の課題であり、民営化しても安全最優先の姿勢が揺らぐ
     ことはない。
    (ア)巨大津波から地下鉄を守る (津波対策)
       平成26年度から平成30年度までに約100億円を投資し、
  • 停電した場合、駅と駅の間に列車が立ち往生することなく、確実に駅まで走行するための大容量蓄電池の導入
  • 出入口における止水扉・パネルの改良、整備
  を行う。
    (イ) トンネルや橋を使い続けるために (延命化対策)
  • これまでも平成2年からコンクリートなどのデータを取って監視するとともに、適切な点検により傷みを早期に発見し直ちに補修を行っている。
  • 今後とも、メンテナンスに必要な予算は確実に確保し、さらに長持ちさせるため、「転ばぬ先の杖」の精神で、先手先手の取組みを行っていく。
    (ウ) 地震に強い地下鉄をつくる (耐震対策)
  • これまでも阪神・淡路大震災以降、高架橋脚約1,000本、トンネル中柱約1,500本の補強を完了させている。
  • すでに、東日本大震災後の新たな国のルールに従った取組みを始めている。
    (エ) その他のこれまでの取組み
     【ソフト面】
  • 「安全教本」を使用した机上研修、「輸送の生命館」における体験型研修を実施
  • 知識、技能を身に付けるための「総合訓練」等の実地訓練を実施
     【ハード面】
      運転保安設備等の整備
  • 地下鉄全線には、すでに列車の衝突や速度超過を防ぐための完成した仕組みATC(自動列車制御装置)が整備されている。(昭和47年11月に完了)
  • ATC装置の信頼性向上を図ることを目的に、平成2年からデジタル処理方式のATC装置の導入を進め、平成23年2月に全路線で導入を完了した。
     転落防止対策
  • 軌道転落防止のために可動式ホーム柵の設置のほか、点字ブロックの更新など様々な対策を実施している。
    (オ) 今後の安全投資計画
  • 今後、安全関連の投資は民営化後5年間で約1,000億円の計画を立てており、運転保安設備をはじめとする安全関連設備の維持管理や更新に努めるとともに、地下構造物の予防保全による延命化、高架橋やトンネルのさらなる耐震性の向上などに取り組んでいく。さらに、車両や施設等の修繕に年平均約80億円を充てることとあわせて、輸送の安全の確保を達成していく。
  • 平成24年度における当局の鉄道事業営業収入に占める安全関連設備投資額は12.9パーセントであり、関西5私鉄の平均10.9パーセントを大きく上回っている。
  イ バリアフリーに対する取組み
      バリアフリー施策については、これまで「ひとにやさしい地下鉄」として先進的に取り
      組んできた。民営化後においてもこれまで果たしてきた役割を「経営理念」の根本とし
      て継承していく。
  ウ 未着手の地下鉄条例路線の整備のあり方について
  • 未着手の地下鉄条例路線(4路線)について、「大阪市鉄道ネットワーク審議会からの答申を踏まえ、本市としての考え方を明確にし、新会社はその考え方を最大限に尊重していく。
  • 民営化後も、未着手の条例路線が国の次期答申に盛り込まれるよう、行政の交通政策部門と連携しながら、これまでと同様に事業者として要望を行っていく。
  エ 地下鉄という貴重な財産が分割されて売却されるという懸念に対して
  • 民営化により、地下鉄は、市民・お客さまのために、これまで以上のサービスを目指して運行を続けていく。
  • 地下鉄は、一体的な料金体系のもとで、各号線が交わり結合することによって形成されるネットワーク網をご利用いただけるサービスを提供しており、この利便性を確保するとともに、さらなる向上を目指していく。
         
      地下鉄が路線ごとに分割されて売却されるということはない
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